世間的にインデックスファンドという言葉をよく聞くようになってきましたが、

インデックスファンドとかアクティブファンドとか、
そもそも何が違うのかも分からない。。

インデックスファンドの方がいい
と聞きますが本当なんだろうか。
という方もいらっしゃると思います。
そういう方のために、
- アクティブとインデックスの違いは何か?
- アクティブファンドのメリットとデメリット
- アクティブファンドは実際良いのか?
を徹底的に解説します。
1.アクティブファンドとは?インデックスファンドとの違い

まず、アクティブファンドやインデックスファンドの周りには
登場する言葉が多いので整理します。
登場する言葉は以下の9つ。
- アクティブ運用
- アクティブファンド
- アクティブ投資
- パッシブ運用
- パッシブファンド
- パッシブ投資
- インデックス運用
- インデックスファンド
- インデックス投資
このうち1-3はアクティブ、4-6はパッシブ、7-9はインデックスに関しての内容。
それぞれについては後ほど説明しますが、
○○運用というのが定義に当たります。
その○○運用の投資信託のことを○○ファンドと呼び、
○○ファンドに投資することを○○投資と呼びます。
つまり、
- ○○運用=定義
- ○○ファンド=○○運用の投資信託のこと
- ○○投資=○○ファンドに投資すること
このように整理して覚えていただくといいです。
つまり、○○運用の意味さえ分かれば他も自動的に理解できるということです。

○○ばっかり使ったのでいまいちよくわからなかった方は、
以下の具体例で理解してくださいね。
では「アクティブ運用」「パッシブ運用」「インデックス運用」について説明します。
まずはアクティブ運用とは何なのか?
アクティブ運用=積極的な運用で「より高い」運用成果を目指す運用方法

「より」高いということは何かと比べてるの?
その通りです。
比べている相手を「パッシブ運用」といいます。
パッシブ運用の定義は以下の通り。
ベンチマークと呼ばれる「指標」に連動して、
パッシブ運用(FPテキスト)
それ以上でもそれ以下でもないように運用する方法のことで、
ベンチマークには日経平均株価やS&P500のようなものがあります。
パッシブ運用のうち代表的なものがインデックスファンドで、
それに投資することはインデックス投資と呼ばれます。
簡単にまとめると、
パッシブ運用=手間をかけず、既にある「指標」を利用する運用方法

いやパッシブの話を聞いているつもりだったのに、
インデックスが紛れ込んできて意味が分からなくなりました。
パッシブ運用の定義にインデックスという言葉が出てきたのは、
パッシブ運用≒インデックス運用だからです。
一般的な使い方では、この2つの意味を変える必要はありません。
より正しく表現するならば、
インデックス運用=パッシブ運用の代表例
流行っているS&P500やオールカントリーという投資信託は、
インデックスファンドに当たります。
なのでそれらに投資していることをインデックス投資と呼ぶわけです。
感覚的にパッシブ・インデックスを使う言葉の中では、
- パッシブ運用
- インデックスファンド
- インデックス投資
この3つがよく使われます。
パッシブ運用とインデックス運用がほぼ同じ意味だからこそ、
両方が混ざって使われることが多いです。
ここから先は、パッシブ運用とインデックス運用を統合して
これら3つのよく使うワードで進めていきます。
それに対して、
パッシブ運用を上回るように積極的な運用をしているのがアクティブ運用です。
アクティブ運用では、
〇銘柄自体の種類をどうするか?
- 割安なもの(バリュー株投資)
- 成長性のあるもの(グロース株投資)
〇銘柄の絞り込み方はどうするか?
- 世界経済の動きから見る
- 企業1つ1つに訪問して選ぶ
こういったことを投資信託ごとに試行錯誤しています。
既にあるものではなく、独自でリサーチして作り上げるからこそ、
一般的にアクティブファンドのコストはインデックスファンドより高くなります。
パッシブ運用≒インデックス運用なので統合してまとめると、
- アクティブ運用=既にある「指標」より高い運用成果を目指す運用方法
- アクティブファンド=アクティブ運用の投資信託のこと
- アクティブ投資=アクティブファンドに投資すること
- パッシブ運用=手間をかけず、既にある「指標」を利用する運用方法
- インデックスファンド=パッシブ運用の投資信託のこと
- インデックス投資=インデックスファンドに投資すること
2.アクティブファンドのメリットとデメリット

アクティブファンドのメリットとデメリットを、
インデックスファンドと比較しながら考えます。
2.1.アクティブファンドのメリット

- ピンポイントで投資したい分野に分散投資できる
- 様々なタイミングで増やせる可能性がある
それぞれ説明します。
①ピンポイントで投資したい先に分散投資できる

ピンポイントと分散投資は矛盾してませんか?
確かに分散投資というと、
- 株・債券・不動産等いろいろな商品に分散
- 全世界の株式に分散
こういったことをイメージする人もいると思いますが、
これらはいわば「守りの分散投資」です。
どこが儲かるかわからないからとりあえず投資先を広げ、
世界全体の経済の発展と同時に資産を増やすという方法です。
ラップ口座や全世界株の投資信託などが当てはまります。
一方、ピンポイントで分散投資をすることも可能です。
ある分野・テーマが今後発展しそうだと思っているとき、
その分野やテーマに含まれる株を単体で持つと、
分野・テーマとしては勢いがあっても、
粉飾決算や個別の事情などでダメになってしまうかもしれません。
それを防ぐため、その分野やテーマに含まれる株式を、
数十社まとめて1つの商品で持てるのがアクティブファンドです。
いわば「攻めの分散投資」です。
例えば、
円安でインバウンド系の銘柄が伸びそうだと思ったら、
インバウンド関連日本株ファンドというアクティブファンドの銘柄があります。
構成銘柄(ファンドに含まれる株)は、
- パンパシフィックインターナショナルホールディングス(ドンキホーテの親会社)
- 寿スピリッツ(ルタオ等を経営しお土産として人気な商品が多い)
などで、
インバウンドとそれに派生して恩恵を受ける銘柄に絞って分散投資できます。
②様々なタイミングで増える可能性がある
また、アクティブファンドは、
様々なタイミングで増える可能性があるのもメリットです。
インデックスファンドだと、
基本的には相場全体が上がっているときにしか資産が増えません。
しかし、
アクティブファンドには、
相場全体が上がっているときに増える以外にも
- ある分野やテーマが盛り上がったら増えるもの
- 相場が下がっているときにむしろ増えるもの
- 相場の2,3倍変動するもの
など、様々なタイミングで増える可能性があります。
インデックスファンドだと静観しなければならない時にも、
資産を増やせるというのはメリットです。
2.2.アクティブファンドのデメリット

- インデックスファンドと比べて手数料が高い
- 良い銘柄を見極めるのがやや難しい
こちらもそれぞれ説明します。
①インデックスファンドと比べて手数料が高い
1章で簡単に触れましたが、
インデックスファンドより相対的に「手数料が高い」というのは事実です。
アクティブファンドは、
- 企業に自ら訪問して銘柄を選ぶ
- しっかり企業や業界の分析をする
- 銘柄を頻繁に入れ替える
こういった手間がかかっている分手数料もかかります。
②良い銘柄を見極めるのが相対的に難しい
もう1つのデメリットは、
インデックスファンドより銘柄数が圧倒的に多いので、
良い銘柄を見極めるのがインデックスファンドより難しい点です。
インデックスファンドが既にある指数に従わないといけないのに対し、
アクティブファンドは自由なので、必然的に数は多くなります。
例えばSBI証券で検索して出てくる投資信託2317本のうち、
インデックスファンドは606本だけです。
アクティブファンドが良いか悪いかは、
- 過去のパフォーマンス
- 運用会社の他の投資信託のパフォーマンス
- その投資信託のテーマの将来性
などから判断できますが、
投資初心者の頃は良いアクティブファンドを見つけるのは難しいです。
3.結局アクティブファンドはどうなのか?

アクティブファンドのメリット・デメリットをまとめると、
メリット
- ピンポイントで投資したい分野に分散投資できる
- 様々なタイミングで増やせる可能性がある
デメリット
- インデックスファンドと比べて手数料が高い
- 良い銘柄を見極めるのがやや難しい
これらから結論は、
- アクティブ・インデックスどちらがいいかは一概には言えない
- 初めての投資にはインデックスファンドの方が無難
- 投資に慣れてきたらアクティブファンドは良い手段
- 投資初心者でもインデックス+αでのアクティブ投資はオススメ

一般的には手数料が安い分、
インデックスファンドの方がいいんじゃないんですか?
これはよく聞きますよね。
ある著名な方が言ってからいろんな人が真似して言うようになりました。
確かに手数料が高いこと自体はデメリットなので、そこだけ考えると間違いではないんですが、
一概に「手数料が安いからインデックスファンドの方がいい」というのは正しくありません。
正しく言い換えるなら、
初めての投資にはインデックスファンドの方が無難に良い
手数料が高い上に良い銘柄を探すのが多少難しいので、
アクティブファンドは初めての投資には向いていない。
⇒インデックス投資の方が無難
この言い方であれば正しいです。

アクティブファンド全体の勝率は、
インデックスファンドと比べて50%以下
というデータを見たことがあります。
そのデータ自体は正しいと思いますが、
データなら何でもいいわけではありません。
アクティブファンドは全体の総数が多い分ピンキリです。
よく分からないところが作った悪いファンドも混ざっています。
全体としてデータを出してしまうとそういったファンドも含まれてしまいますし、そんなデータは意味がないです。
米国の優良企業に投資する人気ファンド3つで比べて見ましょう。
※これより下のデータは2024/10/23時点の野村證券HPのものです。
今回比較する3つの銘柄の構成銘柄と各手数料は
インデックスファンド:eMAXISSlim米国株式(S&P500)
構成上位5銘柄
- 1位:6.9% マイクロソフト
- 2位:6.2% アップル
- 3位:6.1% エヌビディア
- 4位:3.7% アマゾン
- 5位:2.3% メタプラットフォームズ
購入時手数料:なし
信託報酬:0.09372%
アクティブファンド①:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Bコース
構成上位5銘柄
- 1位:8.8% マイクロソフト
- 2位:8.2% エヌビディア
- 3位:6.4% アマゾン
- 4位:5.4% アルファベット(グーグルのこと)
- 5位:4.4% メタプラットフォームズ
購入時手数料:3.3%(野村證券)
信託報酬(1年毎に間接的に取られる手数料):1.727%
アクティブファンド②:netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース
構成上位5銘柄
- 1位:9.49% アルファベット(グーグルのこと)
- 2位:9.39% エヌビディア
- 3位:9.1% マイクロソフト
- 4位:8.01% アマゾン
- 5位:4.55% アップル
購入時手数料:3.3%(野村證券)
信託報酬(1年毎に間接的に取られる手数料):2.09%

これだけ手数料の差があれば、
S&P500が一番増えているに違いない!
そう思いますよね。
しかし、各期間で一番増えた銘柄は
- 過去1年間:netWIN(アクティブ)
- 過去3年間:S&P500(インデックス)
- 過去5年間:アライアンス・バーンスタイン(アクティブ)
購入時手数料を引いた上でこの結果です。(各期間の上昇率から3.3%を引いている)
もちろん切り取る期間や銘柄で結果は変わりますが、
単純に手数料でファンドの良し悪しを言いきってしまうのは間違いという証明になります。
ここで私がアクティブファンドとインデックスファンドを
説明するときによく使っていた例えを紹介します。
- インデックスファンド=リーズナブルな回転寿司
- アクティブファンド=回らないお寿司

味があまり分からないうちは回転寿司が無難です。
充分おいしいですし、満足感もあります。
また、回らない寿司だからといって値段相応のおいしさとは限りません。
変なところを選んでしまうと、
よくわからず「高かったな」という印象だけが残ってしまいます。
しかし、お寿司の味がわかってきた状態で、
リサーチしたり経験者に聞いたりしてしっかり選んだ回らないお寿司には、回転寿司では味わえない感動があります。
私の感覚的なものですが、
インデックスファンドとアクティブファンドの関係はこれに近いものがあります。
投資初心者はインデックスファンドが無難ですが、
アクティブファンドにはそれ以上の可能性があるのです。
だから、
アクティブ・インデックスどちらがいいかは一概には言えないです。
細かく投資先を選べることから、
自分の理想の*ポートフォリオにより近づけやすいですし、
※ポートフォリオ=自分の資産を「株に〇%」「投信に△%」「貯金に□%」という風に配分すること。さらにその中で「日本株に〇△%」「米国株に〇□%」のようにどんどん細分化できる。
投資に慣れてきたらアクティブファンドは良い手段だと言えます。
投資初心者のうちは、
S&P500やオールカントリーなどのようなインデックスファンド
の方が無難に増やすためにはいいですが、
そのインデックスファンドを資産の中心に据えた状態で、
自分の興味ある分野やテーマのアクティブファンドを少しずつ買う
という方法はオススメできます。(コア・サテライト運用といいます)
4.まとめ

今回はアクティブファンドとはなにかを
インデックスファンドと比較しつつまとめました。
結論、
- アクティブ・インデックスどちらがいいかは一概には言えない
- 初めての投資にはインデックスファンドの方が無難
- 投資に慣れてきたらアクティブファンドは良い手段
- 投資初心者でもインデックス+αでのアクティブ投資はオススメ
アクティブ運用はインデックス投資と比べて決して悪いわけでは無く、
初めての投資にしては難しいだけでした。
しっかりファンドを分析したり比較したりできるようになれば、
より細かく投資できる「アクティブファンド」は大きな武器になります。
ぜひインデックスファンドの次のステップとして活用してみてください。
他にも記事を書いているので、お時間があればぜひ読んでください。
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